ガソリン代に使える勘定科目は3つ

まず結論から言うと、ガソリン代の勘定科目に唯一の正解はありません。実務では次の3つが使われます。

勘定科目どういう考え方か向いている事業者
車両費社用車を維持するための費用としてまとめる社用車を保有し、車検・保険・修理も一括で見たい
旅費交通費移動にかかったコストとして扱う営業移動が中心で、電車代等と並べて把握したい
燃料費燃料そのものを独立した費目として管理する運送・配送業など燃料が主要原価になる

どれを選んでも税務上の取扱いは変わりません。ただし一度決めた科目は毎期継続して使うのが原則です。年度ごとに科目を変えると期間比較ができなくなり、税務調査で説明を求められる要因にもなります。

迷ったときの決め方

社用車を持っているなら車両費を選んでおくのが無難です。ガソリン代・車検費用・自動車保険・修理代を1つの科目に集約でき、「その車に年間いくらかかっているか」が決算書上ですぐ分かります。車両ごとの採算を見たい場合はこの形が一番使えます。

仕訳例

現金でガソリン代5,000円を支払った場合

借方金額貸方金額
車両費5,000現金5,000

従業員が立て替え、後日精算した場合

時点借方金額貸方金額
立替の報告時車両費5,000未払金5,000
精算時未払金5,000普通預金5,000

カードで支払い、翌月引き落とされた場合

時点借方金額貸方金額
利用時車両費26,528未払金26,528
引落時未払金26,528普通預金26,528

立替精算とカード払いは、仕訳の形だけ見ればほとんど同じです。決定的に違うのはその仕訳を起こすまでに何人の手を経由するかです。立替なら、従業員がレシートを保管し、申請書を書き、経理が受け取り、金額を確認し、振り込む。カードなら明細がそのまま仕訳の元データになります。

軽油だけは消費税の扱いが違う

見落としやすいのがここです。軽油の価格には軽油引取税という税金が含まれており、この部分は消費税の課税対象外(不課税)になります。

油種消費税の扱い
ガソリン(レギュラー・ハイオク)全額が課税仕入れ
軽油軽油引取税に相当する部分は不課税、それ以外は課税仕入れ

ガソリン税(揮発油税)は価格に内包されていて区分されないため、ガソリン代は全額を課税仕入れとして処理します。一方、軽油引取税は請求書や明細上で区分表示されるのが通常なので、その部分を分けて処理する必要があります。

ディーゼル車を使っている場合、この処理を毎回手作業でやるのは負担が大きい。明細で本体価格と税額が区分された状態で届くかどうかは、実は経理コストに直結します。

私用と混ざる場合の按分

社用車を私的にも使っている、あるいは個人事業主が自家用車を仕事に使っている場合、経費にできるのは事業使用分だけです。

按分の基準としては次のようなものが使われます。

どれを選んでも構いませんが、基準を決めたら継続して使い、その根拠を記録に残すことが重要です。走行距離を使うなら運行記録を、日数を使うなら使用記録を残しておきます。

集計作業そのものをなくす

ここまでは処理の話でしたが、実務で本当に重いのは仕訳ではなくその前段の情報収集です。

現金や個人カードで立て替えている限り、毎月このサイクルが回り続けます。

  1. 従業員がレシートを保管する(紛失リスクが常にある)
  2. 月末に回収して、日付・金額・車両を突き合わせる
  3. Excelに転記する
  4. 精算のため振込を行う
  5. その内容をもとに仕訳を起こす

一方、給油の支払いを事業用のカードに一本化すると、1〜4が丸ごと消えます。月次の明細に「いつ・どの車で・どこで・いくら」が並んだ状態で届くため、それが集計表そのものになるからです。

設立1年目・開業直後の場合:決算書がまだ無く汎用カードの選択肢が限られる時期でも、給油用途に限れば組合系のガソリンカードという手段があります。仕組みは1期目の支払い手段を整理した記事、費用面は出資金1万円の記事にまとめています。

まとめ

科目の選び方を最適化しても、削れる時間はたかが知れています。効くのは、レシートを集めるという工程そのものをなくすことです。