まず「1台あたり年間いくらか」を出せるようにする

車両費が高いと感じていても、内訳を言える経営者は多くありません。理由は単純で、支払いが複数の科目と複数の月にばらけているからです。

自動車税は5月、車検は2年に1度、保険は年1回、燃料は毎週。これでは1台あたりの年間コストが見えません。まずは項目を並べるところから始めます。

項目性質発生タイミング
燃料費変動費毎週〜毎月
整備・消耗品変動費随時
自動車保険固定費年1回
自動車税・重量税固定費年1回・車検時
車検費用固定費2年に1度(初回3年)
駐車場代固定費毎月
減価償却費(または リース料)固定費毎月・毎年
管理にかかる人件費見えにくい固定費毎月

最後の行が、決算書には出てこないのに実在するコストです。

固定費と変動費で打ち手が違う

金額の大きさで言えば、固定費が圧倒的です。減価償却や保険は年単位で数十万円になります。ただし、固定費は一度決めると当期中はほぼ動かせません。保険の切り替えは更新時、車両の入れ替えは償却の区切り、といった具合です。

一方、変動費と管理コストは今月から動かせます。まとめるとこうなります。

対象削減の効きやすさ着手できる時期優先度
管理にかかる人件費中〜大今月から1
無駄な走行の削減今月から2
保険の見直し更新時3
車両の保有形態(購入/リース)入れ替え時4
台数そのものの見直し最大入れ替え時5

多くの記事は4と5から書き始めますが、実務では今月動かせるものから着手するほうが成果が出ます

優先度1:管理にかかる人件費

車両コストの議論でほぼ必ず抜け落ちるのがここです。

給油代を現金で渡す、あるいは従業員に立て替えてもらっている場合、毎月次の作業が発生します。

1台なら我慢できます。しかしこの作業量は台数にほぼ比例して増えます。3台になれば3倍、5台なら5倍です。しかも作業しているのは多くの場合、経営者本人か経理担当者——つまり時間単価の高い人です。

ここは、支払い方法を事業用のカードに一本化するだけで大部分が消えます。明細に「いつ・どの車で・どこで・いくら」が並ぶため、集計という工程自体がなくなるからです。

副次的な効果:車両ごとの採算が見える

支払いを車両単位で記録できるようになると、それまで見えなかったものが見えます。

台数の見直し(優先度5)を判断するには、この数字が要ります。優先度1に着手しておくと、優先度5の判断材料が自動的に貯まるという順序になっているわけです。

優先度2:無駄な走行の削減

燃料の単価を下げるのは、事業者の努力では限界があります。代わりに効くのは走行距離そのものです。

いずれも派手ではありませんが、記録が取れていれば効果を検証できます。ここでも優先度1が前提になります。

優先度3以降:更新・入れ替えのタイミングで判断する

保険は更新時に、車両は入れ替え時にしか動かせません。だからこそ、そのタイミングが来る前に判断材料を揃えておくことが重要です。

順番の考え方:「大きい費目から削る」ではなく、「今月動かせるものから着手し、その過程で大きい費目の判断材料を貯める」。これが車両コスト見直しの現実的な進め方です。

まとめ

給油の支払いをどう一本化するかについては立替払いと小口現金をやめる進め方を、経理処理はガソリン代の勘定科目と仕訳をご覧ください。